勉強は忘れる前提で行う [記憶の特徴]
勉強が苦手だという人に多いのが、忘れる前提で勉強していないということです。
頭が良い人であっても、1回の勉強で完璧に記憶することはできません。だから、繰り返し覚えなおして記憶を強化するのです。それができている人が、いわゆる“秀才”ですね。
10回、20回と覚えなおして、最終的にしっかり記憶できれば良いと考えるのです。そのかわり、1回の復習に時間をかけないようにします。その時に覚えられなくてもよいから、とにかく、短時間でササッと覚えなおすのです。
このような作業を行っていると、極端に習得できない部分が出てきたりします。すると、その部分を集中的に勉強することで、最終的にはマスターする事ができます。
この方法は、「1回の復習に多くを期待しない方法」です。1回1回の復習は、プレッシャーを感じることなく、どんどん進めることができます。覚えられなくても良いと思ってやるわけですから・・・。
記憶と睡眠 [記憶の特徴]
記憶を効果的に定着させるためには、十分な睡眠を取ることが重要なようです。これは、新しい情報が入ってくると、それによって記憶が妨害されるからだそうです。寝ている時であれば、確かに新しい情報は入ってきませんよね。
この興味深い性質により、睡眠を挟んだ学習法が考えられます。
つまり、寝る前に学んだ事を翌朝に復習するのです。寝ている間に記憶が定着しなかった事項だけを覚えなおすことができるので効率的です。
この方法は、勉強時間を朝にシフトさせると言う意味でもメリットがあります。多くの人が指摘しているように、朝に勉強する人の方が試験の結果が良いのです。
朝と夜に分散して勉強する方法を試してみてはどうでしょうか?
複数の手段で記憶する [記憶術]
記憶方法はいろいろありますね。理屈をばっちり理解してしまう方法、覚える対象から連想されるイメージを利用するもの、語呂合わせ、規則性を見出して覚える方法、・・・。
当然ですが、複数の方法を活用して覚えた方が記憶は強固になります。理屈を忘れてしまっても、語呂合わせは覚えているとか、思い出す際のバックアップができるんですね。
これは、ちょうど鉄道網と同じです。1つの路線が不通になっても、迂回できれば目的地に行く事ができます。
知識の記憶も、複数の方法で覚えておけば、1つ駄目でも他の方法で覚えた記憶が活きているかもしれません。
人に説明するつもりで覚える [記憶術]
人の記憶の特徴として、筋道たった理屈を納得すると記憶しやすくなります。理屈に裏付けられた記憶は再生しやすいのです。
人に説明するとすごく自分自身の勉強になる、と言いますよね。人に説明するためには筋道を立てて理解しておく必要があります。
だから、説明の準備をしている段階で、実は自分がもの凄く勉強している事になるのです。
大学の先生でも、講義を受け持ってその科目がすごくよくわかるようになった、ということがあるそうです。
この事実は、裏を返せば、普通の勉強法が“甘い”ということです。通常、自分が理解出来れば良いというのと、人に説明しなければならないのでは、後者の方が要求水準が高いです。
つまり、普段から人に説明するつもりで勉強すればよいのです。
丸暗記という戦略 [記憶の特徴]
最も割りの合わない勉強法として、丸暗記があります。
丸暗記すれば、その知識は頭の中にあるはずだから、試験でだいたい解答できるだろうと思いがちですが、実際にはそう簡単にはいきません。
丸暗記には
■ 記憶する効率が非常に低くなる
■ 直ぐに使える形で記憶されていない
などの問題点があります。
記憶には、理屈を納得しながら憶えると長期記憶に入りやすいという性質がありますが、丸暗記は思考を止めてしまうので短期記憶にしかならないのです。
難しい事を考えたくない人は丸暗記に逃げますが、これは得策ではありません。
語呂合わせ [記憶術]
誰もが知っている記憶法といえば、「語呂合わせ」ですね。この語呂合わせも極めると世界記録を作ることができます。
円周率10万桁を記憶して世界記録を樹立した原口證さんの記憶術は、語呂合わせを基本にしたものです。(→原口式記憶術)
一般に、語呂合わせは、複数のものからなるグループを一気に憶える場合に威力を発揮します。
例えば、化学の授業で習ったイオン化傾向。K,Ca,Na,・・・というヤツですね。これを、「カリルカナ・・・」とか言って記憶したと思います。
ちなみに、意味の通じない語呂合わせでも効果がありますよ。
忘れたいのに、忘れられない [記憶の特徴]
受験勉強で悪戦苦闘している人の中には、大量の知識を記憶できなくて悩んでいる人も多いことでしょう。
一方、誰しも、忘れたくても忘れられない事の1つや2つはあるでしょう。
どうして、こうなんでしょう?片や、記憶したいのに記憶できない。片や、忘れたくても忘れられない・・・。
これは、記憶の仕組みによるものです。脳にインプットされた情報は、まず、短期記憶に格納されます。それらのうち重要なもののみが長期記憶に移されます。
忘れたくても忘れられない記憶は、脳によって重要な情報と判断されているのです。
一般的に、強い感情を伴った情報や、繰り返しインプットされる情報は重要な情報であると判断されます。つまり、長期記憶に入りやすいんですね。
イメージ化 [記憶術]
記憶術の代表的なテクニックに「イメージ化」というものがあります。憶えようとしている言葉から連想されるイメージとくっつけて記憶するものです。
例えば、
● コーヒー豆
● ダンベル
● 宇宙
という3つの単語を順番も含めて憶えるとします。
『コーヒー豆がぐいっとダンベルを持ち上げたかと思うと、次の瞬間、お尻から火を噴いて宇宙へ飛んでいった。』
というイメージを思い描いて憶えれば忘れません。イメージは突拍子がないものほど印象的で、記憶に強く残ります。
上の例ではたった3つの単語でしたが、この手法を推し進めると何十個(あるいはそれ上)の単語を記憶できます。さらに、具体的な言葉だけでなく、抽象的な言葉もイメージ化して記憶することができます。(ただし、トレーニングは必要です。)
記憶していることと思い出すことは別 [記憶術]
よく、こんな経験ありますよね。
● 記憶しているはずなんだけど、思い出せない。
● 記憶しているかわからなかったけど、意外とスラスラ思い出せた。
実は、記憶していることと思い出せることは別なんですね。
記憶には、次の3つの要素があると言われています。
■ インプット
■ 保持
■ アウトプット
「保持」はしているけど「アウトプット」がうまくできない、という状態があるのです。
でも、きっかけがあれば、そのような記憶もスラスラ思い出せることがあります。知識を覚える時には、思い出すための“きっかけ”を作っておくと効果的です。
覚えようとしている内容に対して納得できる理屈がある場合には、その理屈が“きっかけ”になります。
例えば、正四面体の重心の位置は高さの1/4のところにあります。これは正四面体の4つの頂点に質量が等しく集中していると思えば、高さを3:1に分ける点が重心になるから直ぐにわかります。この理屈とともに覚えれば思い出せないことはありません。
左脳を活用する記憶術 [記憶術]
記憶術というと、部屋の中にあるものと関連付けて記憶したり、連想を働かせるテクニックを思い浮かべるかもしれません。
メディアで取り上げられる記憶術の達人もこの種のテクニックを用いていると思われます。つまり、右脳を主として活用した記憶術です。
一方、理屈を理解すると記憶が強固になることがわかっています。これは左脳を活用した記憶術と言えます。
理想的には右脳の連想と左脳の理屈の両方を取り入れて記憶することができれば良いのですが、そのような記憶術はあまり見当たらないようです。そもそも、左脳を活用した記憶術も、私の知る限り「ユダヤ式記憶術」くらいです。
左脳を活用した記憶術には、いくつかのメリットがあります。
● 右型と比べて習得するのが楽
● ビジネスや受験勉強に向いている
特に、大人になってから習得する場合は、左脳タイプが楽なようです。